JOURNAL

158cmの僕がワイドパンツを作る理由

なぜワイドパンツなのか



「僕がワイドパンツを履きたいから」
というのは、半分本気で半分冗談です。

そもそも僕は、低身長だからといってファッションの選択肢を狭める必要はないと思っています。

「低身長なら細身のパンツ」
「脚を長く見せるならこの着こなし」

そうやって低身長をどう誤魔化すかを考えるより、着たい服があるなら、低身長の身体でもファッションとして成立するようにすればいい。

僕はその方が自然だと思っています。

「脚長効果」とか「脚を長く見せる着こなし」って、身長が低くなればなるほど難しくなると思っています。

理由は単純で、背が低くなれば、その分そもそもの脚も短くなるからです。

短い脚を長く見せようとすると、その分、胴体をかなり短く見せないと成立しません。
そうすると今度は、全身で見たときのバランスが崩れやすくなる。

特に僕と同じ150cm台になると、もう絶望的です。笑
多分、同じくらいの身長の人ならわかるよね。

じゃあ、細身のパンツを履いて脚を長く見せればいいのか。
僕はこれも違うと思っています。

パンツを細くすると、今度は上半身のボリュームに負ける問題が出てきます。

顔があって、肩があって、腕がある。
それに対して脚だけを細くしてしまうと、上下の対比で上半身が大きく見えやすくなります。

上半身が大きく見えれば、相対的に下半身は小さく見える。
脚を長く見せるために細身のパンツを履いたはずなのに、全身で見ると逆に脚の短さが強調されることすらあります。

だから僕は、低身長こそある程度パンツにボリュームが必要だと思っています。

上半身のボリュームを下半身でも受け止めて、全身のバランスを取る。
そのうえで、低身長の身体をそのままファッションとして成立させる。

そのために僕が選んだのが、ワイドパンツです。

「でも、低身長がワイドパンツを履いたら、横に広がって余計に背が低く見えるんじゃないか?」
と思う人もいるかもしれません。

実際、ただ太いだけの市販のワイドパンツを150cm台が履けば、縦横のバランスが崩れて
「短足のドカン」になって事故ります。

重要なのは、太さを出しつつも縦のラインを殺さない生地の落ち感と、ミリ単位のシルエット計算です。

丈に対して裾幅をどこまで出すのか。ワタリをどこまで広げるのか。股上をどこに置くのか。さらに、生地が横に膨らまず下に落ちるか。
そのバランスを低身長の身体に合わせて作る必要があります。

上半身のボリュームを受け止めるだけの太さがありながら、横に膨らみすぎないバランスさえ作れれば、低身長でもワイドパンツは絶対に事故りません。

既製品ではなぜダメなのか

僕も今まで、普通に売られているパンツを買って履いてきました。

でも158cmだと、そもそも丈が合わないことが多い。
XSを選んでも丈が長いし、今度はウエストが合わないこともある。

「丈が長いなら、裾上げすればいいじゃん」

もちろん僕も、今まで何度も裾上げしてきました。

でも、裾上げってただパンツを短くしているだけじゃないんです。

裾上げをすると、裾幅が変わります。

切る長さが長ければ長いほど、裾幅は広くなる。
5cm切るのと、10cm、15cm切るのでは、完成したときのシルエットが変わります。

つまり丈を合わせるために裾を切った時点で、元々デザインされていたパンツとは形が変わってしまう。

デニムなら加工の位置だって変わります。
お店で見たときはかっこよかったのに、裾上げして実際に履いてみたら
「なんか違うな」
ってなったことがある人も多いと思います。

丈を合わせることと、身体に合わせて作られていることは別なんです。

「じゃあ、最初から丈が短く作られているレディースやキッズのパンツを履けばいいのでは?」と言う人もいると思います。
僕も昔は試しました。

でも、ダメなんです。

丈が合っても、メンズとレディースでは骨格も、ウエストの位置も、お尻周りや太もものゆとり(ワタリ)も根本的に違います。

レディースの短丈を履いても、メンズ服特有の重厚感やストリートの落ち感は出ず、ただ不自然にパツパツになるか華奢に見えるだけ。

僕が欲しいのは「158cmの男の身体」に最適化された服であって、ただ丈が短いだけの服ではありません。

低身長は、丈と裾幅でかなり変わる



じゃあ単純に、最初から丈の短いワイドパンツを作ればいいのか。
それも違います。

低身長は特に、丈と裾幅のバランスで見え方がかなり変わると思っています。

丈が短すぎると、横幅に対して縦の長さが足りなくなって、いわゆる「チンチクリン」に見えやすい。

逆に長すぎると、単に裾が余ってだらしなく見えるだけではなく、パンツの面積が身体に対して大きくなりすぎて、逆に脚の短さが強調されます。

裾幅も同じです。

広すぎれば、今度は脚だけが強調されて、全身で見たときのバランスが崩れる。

だから
「普通のワイドパンツの丈を短くすれば、低身長向けになる」
というほど単純な話ではないと思っています。

丈、裾幅、ワタリ、股上。

全部のバランスがあって、初めて一つのシルエットになる。

だったら、長いものを切って合わせるんじゃなくて、最初から低身長の身体で一番かっこよく見えるバランスで作ればいい。

僕が自分で作ろうと思った理由は、そこにあります。

158cmを、158cmのまま

そもそも僕は、身長のコンプレックスを根本から解消するのは難しいと思っています。

体型ならトレーニングやダイエットで変えられる。
顔だってメイクや美容で変化をつけられる。
じゃあ、大人の身長は?
どれだけ努力しても、物理的に伸ばす方法はほぼ無い。

どれだけ脚を長く見せても、厚底を履いても、158cmという身体そのものは変わりません。

だったら、無理に高く見せようとするよりも、158cmの身体のままかっこよく見える方がいい。
僕はそう思っています。

脚が短いなら、無理に長く見せなくてもいい。

低身長を隠したり、誤魔化したりするための服が欲しいわけでもない。

158cmなら、158cmの身体のままファッションを楽しめばいいと思っています。

ワイドパンツが履きたいなら、履けばいい。
ただ、その身体でちゃんとかっこよく成立するものがないなら、作ればいい。

僕が作りたいのは、低身長というコンプレックスを「解消」する服ではありません。

低身長の身体のまま、着たい服を自由に着られるようにするための服です。

そう考えると、
「僕がワイドパンツを履きたいから」
という最初の答え。

半分冗談と言いましたが、
もしかしたら、ほとんど本気なのかもしれません。

だから、ワイドパンツを作っています。